約束

kuirtay_72010-11-09




最近先代である父の事をよく思い出す。
政治の事や仕事の事、家族の事など色んな事があったからだろうか、父ならどう思うだろうか、と考える事が多くなった。

そんなおり、東京から来られたお客さんと「1996年当時のネット環境について」という話になった。

当時はinfoseekとかfresheyeとかが検索ソフトで幅を聞かせていて、Googleなんかはあったのかも知れないがメジャーな存在ではなかったような記憶がある。
我が家でも当時、元来新し物好きの父がパソコンを購入してインターネットに挑戦していた。
テレビやビデオなど我家の家電大王だった父もインターネットには苦戦していたようだ。しょっ中「うまくいかん!」と怒っていた。悪戦苦闘している父がある日「ルーブル美術館の映像が見たいから教えてくれ」と言ってきた。
普段私に頼み事などしない父だったので正直驚いた。「ええで」と返事はしたものの、忙しさにかまけて父を手伝う事は延び延びになっていた。父も私と顔を会わせる度に「インターネットは難しい」と言っていた。「そのうち手伝うよ」と愛想も無く返事をする。そんな日々が1ヶ月ほど続いた。





父は病状が悪化して他界した。



こんな、こんな下らん、しょうもない事が心の中に引っかかっている。



キャッチボールで父の投げたボールは今私の手の中にある。


でも気づくと父はいない。