憤り

 以前、本当に僅かな期間であったが一人の青年と仕事をした。彼は私たちの会社でインドの営業所の開設に携わってくれた。同じ学校の出身であったこともあり、何度か飲みにも行った。
 多彩な彼は音楽や、絵画に造詣がありバイトで絵を売っているとも言っていた。
 法律を勉強しているということもあって会社をやめて、学校に戻り勉強していた。

 そんな彼が西宮でひき逃げにあった。相手は飲酒だった。

 何でや!!

 全部に何でや!!

 ほんまに何でや!!!

 私が持っている彼の唯一の作品です。

   
 仁野孝之(享年29歳)「寅年の賀状」